ワンちゃんにまつわる言葉

中村店

「犬も歩けば棒に当たる」このことわざを耳にしたことはありますか?何かを始めたことで思わぬ災難に遭う。もしくは何かを始めたことから思わぬ幸運に出会えるという意味があります。出過ぎた行為を戒める言葉とも、行動することの大切さを教えてくれる言葉ともとらえられますが、良くも悪くもじっとしていてはどのような経験も得られないということをあらわしています。

実は、わんちゃんにまつわることわざや四字熟語、故事や慣用句などは日本や世界に多く存在しています。その中からいくつかご紹介しましょう。

日本編

「犬猿の仲」

意味 とても仲が悪いこと

背景 干支の順番や猟で猿が犬を威嚇した、仲良しだったが熊を前に猿が犬をおいて逃げ出した・・・など様々なエピソードがあります。

類義語 水と油

「頼むと頼まれては犬も木へ登る」

意味 できない事でも何としてもやってみようという気持ちになること

背景 木登りができない犬も飼い主に頼まれたら木に登ろうという気持ちになるたとえ

「旅の犬が尾をすぼめる」

意味 家の中では威張っていたり威勢がいいが外に出るとおとなしくなってしまうこと

類義語 我が門で吠えぬ犬なし

「犬が西向きゃ尾は東」

意味 疑う余地がないほどに当たり前すぎること

背景 犬が西の方向を向いている時は犬の尻尾は東の方向を向いている

「犬も朋輩鷹も朋輩」いぬもほうばいたかもほうばい

意味 同じ主人に仕えていれば役目や地位の違いがあったとしてもお互いに仲良くして助け合わなければならないということ

背景 犬と鷹は異なる待遇を受けるけれども同じ主人に仕える同僚であるというたとえ

「兎を見て犬を呼ぶ」

意味 現状を見極めてから対策をしても遅くないということ

背景 狩りをする時に獲物を見つけてから犬を放つのでは遅すぎるという状況から「手遅れ」の例えとして使われていました。しかし、獲物を見つけてから犬を放っても狩りが成功することもあるため「一見手遅れに見えてしまっても、そこから対策をすれば間に合う」という意味に変化しました。

「犬一代に狸一匹」

意味 人がチャンスに巡り合えることはめったにないということ

背景 猟犬のようにずっと獲物を探し回っている犬だとしても狸のような大物を捕まえることができるのは一生にたった一匹であるという意味から生まれた言葉。

同義語 鍛冶屋一代の剣

「鶏犬不寧」けいけんふねい

意味 非常に緊迫した状況で心が落ち着かないことのたとえ

背景 騒然としていて鶏や犬でさえも落ち着かないというさま

「犬牙相制」けんがそうせい

意味 国境でお互いに権勢しあうこと

背景 「犬牙」は犬の刃の意味で国境が入り組んでいることのたとえ

「鷹犬之才」ようけんのさい

意味 手先として役に立つ才能やその才能の持ち主のこと

背景 猟に出る鷹や犬は主の意思に従い働くことからきている

アメリカ編

「人を愛するならその飼い犬も愛せよ」(Love me, love my dog)

意味 自分のことを愛しているのならば自分のすべてを愛してほしいということわざ

反対語 日本では反対の意味のことわざで「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」があります。

「2匹の犬が1本の骨をめぐって戦うと第3の犬がそれを持ち逃げする」(Two dogs fight for bone and a third runs away with it)

意味 当事者同士が争っている間に第3者が何の苦労もなく利益を横取りしていくこと

同義語 日本の同じような意味を持つことわざに「犬兎の争い」や「漁夫の利」などがあります。

「犬は人間の最良の友達」

意味 犬はどんなことがあっても飼い主のそばにいてくれる心強い存在である

背景 人は関係が大きく変わったり、ケンカなどがきっかけで思いがけず離れてしまう事があります。犬は泣いている飼い主さんに近づいたり顔をなめたりと慰めるような行動をします。”最良の友”と言われる所以はこのように飼い主さんの異変を敏感に読み取れるからでしょう。

エチオピア編

「老犬は無駄に吠えない」

意味 経験豊富な老人が何か意見を言ったなら耳を傾けたほうがいい

背景 シニア犬は意味もなく吠えたりせず、何か異変があるときに吠えることから生まれた言葉。

イギリス編

「犬を愛さないものは紳士でありえない」(He cannot be a gentleman which loveth not a dog)

意味 犬はとにかく愛すべき存在であるということ

背景 ヨーロッパや他の国々などとは異なり、イギリスでは犬を牧羊犬としてではなく飼い犬として可愛がっていました。そのようなイギリスならではの歴史的背景から生まれたことわざです。

「子供が生まれたら犬を飼いなさい 子供が赤ん坊の時、子供の良き守り手となるでしょう。子供が幼少期の時、子供の良き遊び相手となるでしょう。子供が少年期の時、子供の良き理解者となるでしょう。子供が青年になった時、自らの死をもって子供に命の尊さを教えるでしょう。」

詩とも思われるこのことわざはイギリスに古くから伝えられていることわざであり、作者は不明のようです。

まとめ

犬にまつわることわざや四字熟語、慣用句などを知ることで、日本やアメリカなど様々な国の”わんちゃんと人”の関係性や文化を垣間見ることができました。イギリスのような動物愛護国がわんちゃんたちと築いてきた関係はとても心温まるものでしたね。現代の日本では家族として家庭に迎えられるわんちゃんたちばかりだと思います。愛犬家の皆さんにとっては一番近い感覚を持ったことわざがあったのではないでしょうか?

犬にまつわることわざは今日紹介した以外にもたくさん存在します。興味のある方は調べてみてください!