改正 動物愛護管理法について

ブログ中村店

皆さんは動物の愛護及び管理に関する法律が改正されたことをご存知ですか?


動物の愛護及び管理に関する法律とは1973年に制定された法律で、

主に「動物の愛護」と「動物の適正な管理」の2つの目的を持つ法律です。


動物は命あるものと認識し、その習性を理解して適正に扱い適切な飼養環境を確保することを基本原則とし、人と動物の共生社会を実現することを目指しています。


施行から5年を目途に見直されていますが

今回は改正前と比べてどうかわったかみていきましょう!


 

〜2020年の主な改正ポイント~

①マイクロチップ装着・登録の義務化
②幼齢犬猫の販売等の規制
③第一動物取扱業遵守基準の内容具体化等
④動物取扱責任者の要件の充実等
⑤周辺環境保全の勧告・命令措置
⑥拾得者などからの犬猫の引取りの拒否
⑦特定動物に関する規制の強化
⑧罰則の強化

それぞれ順番にポイントを見てみましょう☺︎ 

   

 

①マイクロチップの装着・登録の義務化

ブリーダーやペットショップなど第1種動物取扱業者に限り義務となります。

一般の飼い主さんに対する装着の義務化はありませんが、「できる限り装着するように努力すること」とされます。

また、一般の飼い主さんであってもマイクロチップを装着した場合は「情報の登録は義務」となります。
ご注意ください。

~効果~
遺棄や盗難の防止が期待されます。
災害時などわんちゃんが行方不明になってもマイクロチップの情報を読み取れば個体識別ができ、飼い主の元に戻れる率が高くなります。

  

 

②幼齢犬猫の販売等の規制

犬や猫の販売・展示・引き渡しは
改正前▹生後49日齢を経過してから可能でした。
改正後▹生後56日齢を経過してから可能となります。

※天然記念物にあたる秋田犬や柴犬など6品種の日本犬は、天然記念物の保護の観点からこれまでどおりの49日齢から可能となっています。

〜効果〜
母犬の母乳にはたくさんの免疫抗体が含まれており、

母犬のもとで育てられることで免疫機能が高まり健康な体づくりが出来るようになります。

(生後すぐに母犬から引き離すと病気に対する抵抗力が弱い子になってしまいます。)

社会化期の期間、母犬や兄弟犬と過ごす時間が増えたことでルールやマナーをより学習しやすくなりました。

 

●一生を左右する社会化期とは?
犬猫の生後1ヶ月~3ヶ月頃(3週齢~12週齢)の期間のことを指します。

犬は、生後約1年で成犬になりますが、この時期に色々な人や犬に接触しないでいたり経験が少ないと、飼い主以外の人や他の犬を怖がるようになったり、吠え癖、噛み癖などの問題行動を引き起こす原因となるので注意しましょう⚠️

 

  

③第一種動物取扱業遵守基準の内容具体化等

改正後は第一種動物取扱業による適正飼養の促進や生活環境保全のために
使用施設の構造繁殖回数などより具体的に定めれることになりました。


他にも対面説明犬猫の現物確認の必須となることや販売場所をペットショップなどの事業所に限定するなどの規定もされるようになります。

〜効果〜
具体的な基準ができたことにより犬猫を不適切に扱う業者を減らすことができます。
インターネット販売でのトラブルを防ぐことができるようになります。

  

 

④動物取扱責任者の充実感等

現在、第一種動物取扱業者は飼養管理の技術や能力、知識の向上の観点から各事業所に動物取扱責任者を置くことが義務付けられています。

改正前▹業務に関する資格、実務経験、卒業のいずれか1つあれば動物取扱責任者になることができました。
改正後▹資格又は専門教育機関の卒業と実務経験の2つが必要となります。(国家資格以外)

なお現在すでに動物取扱責任者となっている方も、令和5年6月までにもう一つの要件を満たす必要があり、動物取扱責任者の実務経験についての要件は「6か月以上」、そして「常勤」として勤務していたことが条件となります。

 

 

⑤周辺環境保全の勧告・命令措置

生活環境への被害のひとつがニオイ鳴き声問題です。

これらの要因の1つに「多頭飼育崩壊」があります。

飼いきれないほどの頭数を所有し管理が行き届かなくなったことで周辺の環境まで被害がでてしまっている状態のことです。


改正前▹多頭飼育のみ周辺環境に被害があったり虐待の恐れがあったりするする場合、勧告や命令が可能でした。
改正後▹多頭飼育でなくても指導・助言、立入検査など可能となりました。

〜効果〜
1頭飼いであっても不適切な飼育方法をしている飼い主に対して指導しやすくなりました。

 

 

⑥捨得者などからの犬猫の引取りの拒否

改正前▹都道府県知事などは、原則として所有者不明の犬や猫などの引取りをしなければなりません。
改正後▹周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずる危険がないと認められる場合は、所有者不明の犬や猫の引取りを拒否できるようになりました。


例えば、適切に管理されている「地域猫」は、所有者不明の猫になりますが、自治体は引取りを拒否することができます

〜効果〜
簡単に愛護センターが動物を引き取ることがなくなりました。

 

 

⑦特定動物に関する規制の強化 

特定動物とは人の生命、身体または財産に害を加える恐れがある動物として政令で定める動物のことです。


ワニやタカ、ニシキヘビなど現在650種類が指定を受けています。

改正前▹飼育施設など様々な基準を守り申請すること(許可制)で飼養可能でした。
改正後▹飼養目的にかかわらず交雑種も含め原則禁止となります

(交雑種:両親の片方が特定動物の場合、特定動物として扱われます。

例えばオオカミと犬の交雑種であるウルフドッグも特定動物に含まれます。)

 

 

⑧罰則の強化

虐待による罰則は1948年に軽犯罪法によりはじめて規定されました。

改正前▹現在はみだりに虐待を行った者は100万円以下の罰金、遺棄した者は100万以下の罰金、みだりに殺し又は傷つけた者は2年以下の懲役又は200万円以下の罰金となっています。

改正後▹みだりにケガが生じる恐れのある暴力を行った者又は動物を衰弱させるなどの虐待を行った者、遺棄した者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と変わらないものの、みだりに殺傷した場合5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に引き上げられました。

 

●罰則対象となることとは
動物虐待とは動物を不必要に苦しめることを指し「積極的虐待」と「ネグレクト」の2つに分類されています。

積極的虐待 = やってはいけない行為を行うこと、行わせること
例) 殴る、蹴る、熱湯をかける、動物を闘わせる、
動物にケガを負わせる又はケガをおう恐れのある行為や暴力を加えること  等

ネグレクト=やらなければならない行為をやらない
例)世話をしないで放置する、病気やケガを治療しないで放置する
充分なごはんや水を与えない、
健康や安全が保てない場所に拘束して衰弱させること  等

 

 

以上、主に改正された8つのポイントを解説しましたがいかがでしたでしょうか?


実際改正されるごとに動物に寄り添った法律に近づいていますが、ヨーロッパなどの動物先進国に比べ日本はまだまだ遅れていると思います。

少しでも早く世界水準に近づくよう、ひとりひとりが動物に対する思いを変えていくことも必要かもしれませんね。

動物の気持ちになって行動する人が1人でも多く増えてくれたらなと思います!